寝台バス運転士のエッセイ集
----- ドラゴンスキーシリーズ -----

@ R19号 カーブごとの恐怖

ついに始まったスキーシーズン。この時期になるといつも思う事。それは
「今度は無事に生きて帰って来られるのか?」そんな不安と背中合わせの毎日・・・。
 
22:40頃、BCを出発。翌日深夜1:00頃に最初の休憩地、木曽路元越DIに到着。約30分ほどの休憩の後、次の休憩地、豊科にあるDI穂高に向かう。この元越DI〜DI穂高までの走行区間と走行時間帯(1:30〜4:00)がこの乗務における最初の恐怖と背中合わせの時間帯。

その理由はこの区間のR19号は、長野〜名古屋を結ぶ主要国道でも有り、深夜のトラックの交通量はかなり多め、尚且つ山間部を抜ける為、降雪量も並大抵ではない。途中、薮原あたりの厳寒時の最低気温は−15℃以上にも達する。

R19号はそのほとんどが山間部である為に当然カーブの連続でもある。この区間は気温が氷点以下が全線である為に道路維持作業車の融雪剤散布をしても路面は常に凍結している状態で・・・。

左カーブに差し掛かると自分の運転するバスが凍結路面でスリップするかもしれない恐怖。右カーブに差し掛かると対向車であるトラックが滑って突っ込んでくるんじゃないか?という恐怖。ハンドルが突然軽くなったり抵抗があったり、そこから察知できる路面の凍結状態。

そんな時いつも思う事、「自分がいくら気を付けていても、突っ込まれたら死ぬんだろうな・・・」

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A レジャーカーの恐怖

冬休みにも入ると国道19号も冬道を甘く見た一般乗用車が増えてくる。
この世の中で「無知ほど怖いものは無い」とは彼らの事を言うのだろうけど…

名古屋から中津川の元越DIまでは急なカーブも少なく交通量も比較的多い。幅員は2車線区間が続き、路面凍結も少なく冬期間の夜間気温も-2℃〜-5℃とそこまで冷え込む事も無いので乗用車が好き勝手にやってくれても然程苦にもならないのだが…怖いのはその先、元越DIから塩尻までの山間部区間。

岐阜県から長野県にかけてのR19号の法定速度は50q/h。スキーバスはどこの会社もほぼ60q/hで流している感じで、トラックは平均70q/h位である。元越DIを過ぎると塩尻まではほぼ一車線になり、それまではスイスイ走って来た乗用車もここからはバスやトラックに追従する形になりカーブも多く対向車もある為に追い越す事もできない。バスもトラックも気温やハンドル、目に映る情報からヤバそうな所では安全を考えれば減速が鉄則となる。

そのうちに乗用車もイライラしてくるのか先の見通しの効く右カーブで無謀な追越しにかかってくるのだが…。バスドラからすれば追従車両がいないほうが追突される心配もないので追越しは大歓迎、しかし無理な追越によって巻き添えを食らうのはとってもアリガタ迷惑な話である。

山間部なので気温はどんどん下がりカーブのいたるところでは凍結が感じられる。追越したい乗用車の気持ちも分からないではないので極力追越しのし易い安全な場所でと考えながら前方や後方の状況に気を配る。当然ミラー確認も増え人事の為に余計な神経を使ってしまう。

なかなかタイミングが掴めないでいると「やっぱりか…」の追越しにかかってくる。「無事に追越してくれればいいけど…」祈るような気持ちでこちらも減速体制。何も無ければ「(^。^;)フウ」だけど…追越と凍結のタイミングが合ってしまえば目の前でスピンされる事だって考えられる。

もしも目の前でスピンでもされたら、それに突っ込まざる終えない状況は容易に想像もつく。そんな“ヒヤッ!”を日々何十回と繰り返しながら無事に豊科の穂高DIに着いたときいつも思う事・・・
「あ〜やっと今日のドラスキー恐怖の半分が終わったぁ〜」 (^。^;)フゥ〜& (-_ゞゴシゴシ

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B 白と黒の恐怖

“白の恐怖”とは、もちろん雪の事。その白にも色々あって、気温が+1℃〜−3℃位までの
比較的多めの水分を含んだ雪。それ以下のさらさらの雪の2種類+α。
怖いのは+1℃〜−3℃あたりに降るベタ雪の事である。経験上ではあるが、ベタ雪つまり
水分を含んだ雪はスタッドレスタイヤでもグリップを維持しにくく、スリップし易いのである。

R19号沿線の気温差は、岐阜県の中津川辺りと長野県の薮原辺りでは−5℃〜−7℃位の気温差がある。ということは必然的に長野県の薮原辺りまでは雪質もベタ雪が多く特にスリップ危険区間ということになる。

また、この雪質とR19号特有の通行車両の走行形態が相まって恐怖を増大させる要因でもある。
R19を平日深夜の時間帯に通行する車両は大半がトラック・トレーラーでありそれぞれに速度差がかなりあるために、対向車に関しては数分おきに団子状態でやってくる。しかし休日ともなるとトラックも殆どなく当然対向車も来ないR19号の単独貸切状態である。

対向車が来ないというのは一見、離合時(すれ違い)の恐怖感からは開放される訳だが
降雪時の場合はなかなか甲乙付けがたい部分でもある。大抵のプロドライバーは通常これから先自分が向かう方面の道路状況については路上設置の道路情報板やドライブインでの道路情報等で知る事になるのだが、原始的だけど現実的かつ確実なのが“対向車の様子を見て…”というのがある意味では一番安心なのである。対向車が前面に雪を付着させていればこの先は降雪、チェーンを巻いていればかなりの降雪、フェンダー近辺が乾燥していればこの先はドライ等。しかし対向車が無いという事はそれが判断出来ないから違う意味での不安が増大する。

もう一つには、路面に薄っすらと雪が積もっている場合に、それがアイスバーン状態なのか、塩化カルシウム(通称:塩カル/融雪剤)なのか、降ったばかりなのかというのは対向車が行き過ぎた後のタイヤ痕でうかがい知る事が出来る。それにより到着時間の制約や長時間運転から来る疲労回避の為できるだけスムーズに速度調整をしながら走行したいと思うのだが、判断材料が無ければそれも出来ずに…という事にもなる。

“黒の恐怖”とは、もちろん路面(アスファルト)である。その黒にも色々あって、ドライなのか
ウェットなのか、凍結(アイスバーン)なのか、しかし降雪が無い場合はどれも黒いからである。

ウェットの場合はシャビシャビ音がするのでわかるのだが、ここで一番判断しにくいのはドライか凍結かである。この両者は全くの相反するもので凍結には特に危険性があり判断を誤ると大事故につながりかねない。路面が黒い(雪が無い)からドライだと思ったところが実は凍結していて、それが
カーブであったり信号交差点であった場合…その後の状況は容易に想像がつく。

もう一つの“黒”に当然と言えば当然の、夜であるが故の暗闇の“黒”。
R19号は山間部に関しては殆ど街灯が無い。ヘッドライトが無ければ真っ暗闇である。
月の光でも明るく感じるほどの闇の中を走り抜けていくという感じである。

上記の“白と黒”その判断を唯一の光源であるヘッドライトだけで判断しなければならないというのはどのドライバーにとっても大変な神経を使いそれにより運転から来る疲労度を増大させるところではないだろうか?

最後に“白と黒”には“恐怖”ばかりではなく感動も与えてくれることも付け加えたいと思う。
それは、豊科から大町あたりに入ると標高は700mに達する。真っ暗な空に月と星が今にも降り注ぎそうな感じで“きらきら☆ミ”と夜空に輝いている。自分が今、プラネタリウムにでもいるような錯覚さえ覚える。この時ばかりは夜行運転の疲れを一瞬でも癒してくれるひと時でもある☆彡

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C 路側帯とセンターライン 

人間は何の目印も無いところをまっすぐに歩き切る事はできないらしい。
目印や目標があって始めてまっすぐ歩く事が出来るらしい。
人が車をまっすぐに走らせることができるのも、この目印や目標があるからこそだと思う。

毎日何気なく運転している中で、あって当たり前な路側帯とセンターライン。しかしこれが見えない状態になった時、始めてその存在の意味に気付き、時にはパニック状態に陥る事も・・・。(O.O;)(oo;)

運転経験者なら誰でも経験はあると思いますが、例えば雨で路面が濡れている時
どこがセンターラインなのかわからなくて焦った事ありませんか?

雪の多い道路では、路側帯やセンターラインはまず見えない、また無いに等しいのです。
路側帯はと言えば、除雪車のハイド板により寄せられた雪に埋まり、センターラインはと言えば
降雪時であれば当然真っ白で見えない。安全を考えれば当然の如く上下2車線をまたぐ形で走行していくのだが、辺りが真っ白になった時、道路の真ん中はどこなのか?どこまでが道でどこからが道じゃなくなるのか? この先道はカーブしてるのかしていないのか?この怖さはあの全面真っ白な何の目印も無い雪の中を走ったことがある人にしか分からないとは思うが…。そんな中何時間も神経をとがらせて何時間も運転しなければならないスキーバスの乗務員さん!お疲れ様です・・・(・_・)(._.)

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D 夜行/寝台バスの運転

寝台バスに限らず、とにかくバスと言う乗り物を運転するにはかなりの神経を使う。
それは、運んでいるものが荷物ではなく生身の人間である為である。

私も以前は何十トンもの鋼材を積んだトレーラーに乗務していた経験があるが、その時の神経の使い方とは似て非なる部分が多々あるからである。確かにオイルでツルツルの鋼材を運んでいた時は1.5トンのレバーブロックでガンガンに締め付けても指1本でスーっと滑り出す、あの気持ちの悪さは思い出しただけでも気色の悪いものであるが、たとえ急ブレーキを踏んでも命を落とすのは自分だけである。そこまでいかなくても荷崩れを起こして積荷に傷がついても弁償という方法で大体は形がつく。それに荷物は文句を言わない。(爆)

しかし、バスの場合は積荷が!?生身の人間である以上(爆)、ちょっとした気の緩みで車内事故
(走行中の車内において乗客が負傷する事)でも起これば、それはお金で済む話ではないからである。もちろんこれは交通事故で、人に負傷を負わせた…と同じで、法的な扱いは人身事故になる。

あるトラッカー達による道路情報交換BBSにこんな事が書かれていた。
「俺たちは何千万円の積荷を運んでいる・・・」と、これを見た時ハッと思った。
現在の法律の判例では交通死亡事故1件につき少なくとも“億”以上の賠償責任が問われている。ということは、バスの場合“億”×乗車人数=何十億円!?

私がトラッカー時代に運んだもので一番高額でも3000万円でした。バスはその何十倍もの積荷?
(爆)を運んでいる…これに気付いて、これまで以上に安全運転に徹しない訳にはいけないと思ったのは否定の出来ない事実でした。f(^^;)

本題の“寝台バスの運転”についてですが、これはまた昼間に走るバスとは運転操作のそれ自体も変わってきます。その理由は当然ながら、寝台バスの乗客は160度のリクライニングシートで熟睡状態で寝ているからです。またバス料金も寝台の場合は通常のバスよりも価格設定は高めになっています。その理由は1座席あたりの占有スペースを広く取らざる負えない為に乗車人員も限られてしまう為です。(通常のバスは55人乗り 寝台メルヘンは32人乗り)

それではそのような状況の中、寝台バスの運転士はどのような事に気を使っているのか…
(全ての運転士がこうであるとは限りませんが、、、)
@発進時のクラッチ操作及び加速は自然かつスムーズにし、乗客の睡眠を妨げない。
A一般道路においても等速運転に努めエンジン回転数を一定に保つように努める。
B減速時はエンジン回転数とギア比を考慮し、スムーズな減速に努め、急激な減速はしなくても良い  ような常に予知運転に努める。
Cブレーキ操作については乗客が容易に気付く事が出来ない程度まで滑らかにし
  特に制動時のエアー排気音も出さない操作に努める。
Dエキゾーストブレーキ(排気ブレーキ)・パワータード使用時には段階操作を行い
  乗客に不快感を与えない操作に努める。
Eエアー式パーキングブレーキを使用する時は、操作時のエアー排出音を車内に響かせないように  操作時はゆっくりと操作する。
F方向指示器・エアコン等の操作パネルの操作時の作動音は出来るだけさせない
  (手の平等でミュートさせる)

箇条書きで書きましたが、寝台バスの運転にはこれだけの配慮をしながらドライバーは運転します。それは昼間とは違って深夜である・車内の乗客は熟睡状態で静まり返っているという特異な状況の中、少しでもゆっくり休んで頂きたいというドライバーのささやかなサービスとプロ意識なんです。

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E 自殺志願者?

土日ともなるとよく見かけるのがまさに“自殺志願?”としか思えないようなレジャーカーのドライバー達!。多方面の県外からスキーを楽しもうと自慢の4WDやマイカーで友達と乗り合わせでやってくる。私自身もこのような経験はあるのでさぞや楽しいのだろうとは思うが・・・しかし2月の夜間ともなると長野県の気温はほぼ全域で氷点下は当たり前となる。そして路面は当たり前のように凍結また圧雪状態で時にはアスファルトが鏡のようにツルツルと光り輝くようになる。

多分、長野県に入るまではその車の中でワイワイガヤガヤ\(^o^)/ワーイという感じでやってくるのだろうが、そのうちに山間部に入りその車が自分の意思どおりにコントロールができなくなると・・・
ここで登場するのが自殺志願者?と思わざるを得ないような行動に出るドライバー達。

そこがカーブであろうが、狭い場所であろうが、上り坂であろうが、交通の迷惑になろうが当たり構わずチェーンを装着し始める。いきなりなんの予告もなしに自分の運転する車がコントロールを失うのだから頭の中はパニック状態になり焦ってしまうのだとも思うが・・・それを見た他のドライバー達も心なしか不安になりハザードを出してチェーンを巻き始める。路上はまさに無法パーキング状態。

通常、なれたドライバーならある程度はそれを予測してその前にを安全な場所でチェーンを装着するのだが。そのためにいたるところに“チェーン脱着場”として安全なスペースが確保されているにもかかわらず・・・酷いドライバーともなると“装着説明書”を懐中電灯で照らしながらという人すらいる始末で・・・\(--;)オイオイ

自殺志願というのは、当然あなたが滑った、コントロールできなくなった、怖い!と思ったところはどのドライバーもコントロールを失い怖いと思い滑るのです。そんなところで車を停車し、車外に出て無防備のままチェーンを装着するというのは死を覚悟しなきゃできない荒業だということを果たしてあのドライバー達は覚悟の上なのでしょうか?

見通しの悪い峠道、カーブを抜けた先でいきなりその状況を確認した時。凍結路面で車両総重量16dもあるバスを停車もしくは短い距離で減速させるのは至難の業です。もしも間に合わなければ・・・
これまでにそんな状況で何度( ゜_゜;)ヒヤッ!っとさせられたことか・・・

そんな時いきなり心拍数がそれまでの2倍にも3倍にもさせられていつも心の中で叫ぶこと
『バッキャロー!<`ヘ´>テメーラ死にてぇーのか!』 ・・・・・・・ふう (;^_^A アセアセ・・・

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F 大自然の怖さと野生の動物は同じ?

ここで言う大自然とはもちろん『雪』にまつわることなんですが・・・

バスの運転士という職業を始めて、スキーバスに乗務するのも間もなくで12年目
(’03年現在)に入ろうとしており、私の場合は年間のうち12月〜3月までをこの
スキーバス専属で連続11年間乗務しています。

それでも毎年x2思うことは冬季道路つまり『雪』のある道路というのは
“経験を重ねれば重ねるほど”怖いものだということをつくづく痛感するという事です。
通常、運転技術や運転操作というものは経験を重ねれば重ねるほど向上し
やがてプロドライバーとして徐々に成長していくものでもあるのですが・・・。

しかしこの『雪』という物が相手である場合には、それは全くと言っていいほど通用しないからです。
その理由は、この雪にはこれだ!という法則が全く当てはめようが無いからで、雪質に始まり気温
湿度、その場所、勾配、車両重量、車両重量配分、スタッドレスタイヤの種類や磨耗度、空気圧
タイヤの接地面積等このどれもがいつも微妙に違ってくるからです。

これらが違えば当然、雪路上や凍結路上での減速の方法、ハンドル操作、制動のかけかた全てが変わってくるので言い換えればいつも同じパターンはあり得ないと言う事だからです。
同じパターンが無いということはいつも出たとこ勝負で、あとは感に頼るしかなく、この感という物ほど曖昧なものはないような気がしてなりません。確かに経験によってこの感の正確性は向上するかもしれませんが、それでもやはり感の域は脱することはないということです。

夜行のスキーバスというのは通常MM乗務(運転士が2人で乗務し交互に運転すること)
となりますが、どんなベテランドライバーでもスキー場に向かう峠道は敬遠したがります。
その理由が上記になるわけですが・・・。

しかしそれも怖がってばかりいたのでは、肩に力が入り、アクセル・ブレーキに至る操作に余計な
力が入ってしまい結局はバスを安定した状態で走らせることすら出来なくなってしまうのです。

この事を考えていたとき、ふと思ったのが『自然(雪)』は野生の動物と同じかもと・・・
『雪』を野生の動物に例えてみると、どんなどう猛な動物も赤ちゃんのうちはぬいぐるみのようで愛くるしく可愛いのですが成長すればするほど体は大きくなり、また野生の本能も蘇ってきます。いくら飼い主として赤ちゃんのうちから可愛がっていたとしても怒らせればまた気分しだいでは噛み付かれ
へたをすれば命さえ亡くすほどの大怪我もさせられかねないと思います。かといって怖がってばかりいたのでは愛情は伝わりません。

まさしくこれは『自然(雪)』と同じだと・・・鑑賞するだけなら美しく幻想的な雪。
怖がらず、なめてかからず・・・いつまでも仲良くしたいものです。(^_-)-☆

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G センターラインが生死の境目

かなり以前に、女性トラッカーの仕事ぶりをドキュメント番組で見ていた時の事、その会社の社長さんがこんな事を言っていた。「男性女性にかかわらずトラッカーは“センターライン一本に命を賭けている”」 何故かその言葉がいまだに耳に響いて離れないでいる。

トラック時代にも、いつもこの言葉を思い出すたび、あの黄色のセンターラインに
目を奪われる自分がいた。バスの運転士となった今でもそれは変わってはいない。
「このセンターライン一本で自分たちの命は守られている」と・・・

この冬の時期にには、毎日のように走行している国道19号。岐阜県の中津川を過ぎたあたりから
長野県の塩尻迄の区間では大半が片側一車線の分離帯のない上下線対面通行となる。
目測ではあるが、この区間の大半の道路幅員は約 7メートルで片側では3.5メートル位では
ないかと思われる。

どちらかというと国道のわりには狭い道ではないかと思うのだが、この片側幅員3.5メートルしかなく、ほとんどがカーブの連続という道を車幅2.5メートルの大型トラックや観光バスが平均時速60〜70km/hですれ違う。平均離合時の速度差は約120km/hという事になる。

実際の大型同士のすれ違い時には、お互いが無意識のうちに車両を路側帯ギリギリまで幅寄せをしてすれ違うのではあるが、それにしても互いのバックミラーの出っ張りを差し引いた、スレ違い時の隙間は1メートルあるかないか・・・考えただけでもゾッとしてしまうが、そんな状況でも安全に走行できているのはあのセンターラインのお陰ではないかと。お互いがセンターラインを意識し信頼し
命を預けている。

最近何気にふと思うのは、たったの1メートルしか余裕が無いスレ違いの直前にどちらかのドライバーがハンドル操作を誤れば、その直後・瞬間に衝突・接触する。へたをすれば正面衝突。運が良くても事故は免れないのではないかと・・・ 深夜に走るトラッカーの皆さん、スキーバス運転士の皆さん本当にご苦労様です。とにかく事故の無いようにお互い頑張りましょう!

前出の社長さんの言うとおり「センターライン一本に命をかけている」
確かにそうだなぁと実感せざるを得ないこの冬のシーズンであります。

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H 観光バス運転士は運転が上手???(爆)

結論から言えば、ヘタクソ!もいるんです。(爆)

スキーバスは夜行乗務という事もあり、MM(*1)で運行されるのが通常です。この事が良かったというか悪かったというか・・・ついに信じられないほどのヘタクソ!氏との乗り組みがついてしまい
その方の運転するバスに乗るハメになってしまったのですが・・・

冬のスキーシーズン以外での乗務では大半がガイドさんと乗り組んで乗務するので、他運転士の
運転技術等はわからなくて当然でもあるのですが、運転士になって12年目(’03年現在)を迎えようとした今頃になって初めて気付きました。バス運転士でも信じられないほどのヘタクソ!がいるということを…(爆)

これまでは、休憩時などの他愛も無いガイドさんとの会話の中で、○○運転士さんは運転が上手いだの下手だの、、、という会話の中で、私は「どの運転士も運転技術にはさほど大差は無い。しかし、ガイドさんが○○さんは運転が上手だと思うのは、その運転士がお客様やガイドさんの事を考え、神経を常にピーンと張った状態で思いやりのある運転に努めていたからだと思う」というように説明してきました。

しかし、そうではなかったみたいで・・・。このような運転士さんもいたことに気付いた時は、同じ運転士としてショックでもあり最初は信じられませんでした。というのも、ご本人さんは自分の運転がヒドイとは全く気付いていないからです。それでは、どのような運転が下手と思わせるのでしょう?簡単に言えば“急”のつく運転操作が絶えないという事です。急発進、急ブレーキ、急ハンドル、またエンジンブレーキとはかけ離れたシフトダウン。

コップ受けのお茶はこぼれる、荷物棚から荷物は落ちる、座っていてもからだがどんどんずれていく最後には吐き気を催す。(爆) あまりの酷さに耐え切れなくなった私は一言いわなければとも思いましたが、年上でもありプライドもあるかとは思ったので、その辺を考慮して・・・「何か怒ってるんですか?」と聞くと、「(・_・)......ン?なんで?」と全くこちらの思惑も伝わらないほど素直に「怒ってないよ(^^♪」と言われました。それ以上は何も言えなくなってしまいました。

MM乗務の際は片方の運転士が運転中はもう片方の運転士が仮眠を取り運転交代時に備えるのですが、この日は結果的に私は一睡もできませんでした。(泣)

バス運転士になって始めての貸切乗務の時、キャリアうん十年のベテランガイドさんに言われました

・プロのバス運転士はコップにナミナミと水を入れて運転席横のダッシュボード上に置いておいても
 一滴もこぼさない。(街中走行であっても)
・バス車内後席にあるサロン席のテーブルにビール瓶を立てておいても倒れない。
 (どんな峠道を走っていようとも・・・)
・走行中にガイドさんがハイヒールを履いていたとしても、ふらつくことは無い。

その当時は、いきなりそのように言われかなりのプレッシャーをかけられましたが、実際に特別車といわれる超豪華車を担当とする先輩運転士の運転は、まさにそのガイドさんの言われる運転そのものでした。それを目の当たりに見た時は「さすがバスの運転士はただのハンドル握りとは違うんだ」と実感したものです。

その時の、その大先輩ガイドさんの「一言」が今の自分の運転に良い意味で大きな影響を与えてくれ今現在の自分の運転操作意識につながっていると思っています。

運悪くヘタクソ!な運転士のバスに乗るハメになってしまったらいさぎよく諦めましょう!((爆)(爆))

MM(*1)…夜行乗務及び走行距離が670km/日を超える場合は、運転士(M)が2人一組で乗務する事

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I The bus on ice !! (アイスバーン)

スキーバス乗務の中で究極の恐怖と言えば、やはり実車中(*1)にバスがアイスバーン状態の上を走行、またはやむをえずその場で停車した直後ではないだろうか… それも急坂路ともなれば例えようの無いほどの恐怖を覚える。

バスがアイスバーン上にいる状態の時というのは、簡単に言えばハンドル・ブレーキ・アクセルというバスに限らず、車を操作する為に必要な機能が全て失われた状態に等しい。もし車を運転していて突然ハンドル・ブレーキ・アクセルが操作不能に陥った時、どんなプロドライバーでもパニック状態になるのは容易に想像もつくと思う。

私の過去11年のスキーバス乗務の中で一番の恐怖体験は、野沢・斑尾ルートを担当していた時の事、ちょうど3月も半ばに差し掛かった頃である。
木島平から戸狩〜野沢温泉をまわり、最後の降車場所である斑尾スキー場に向かっていた。斑尾スキー場というところは白馬にある栂池スキー場と並びバス運転士泣かせの曲がりくねった長い上り坂があることで有名なところで、斑尾の場合はスキー場に入る少し手前の急坂路には、スノーシェッドといわれる言わば雪除けの為の簡易トンネルがある。

この日の気温は-8℃位であった。そのスノーシェッドに差し掛かった所でこの先走行するはずの左側車線がツルツルのアイスバーン状態になっている事が確認できた。その為安全を考えて凍結の無い対向車線を走行する事にした。ここは急な上り坂である上に道路はS字状に曲がりくねっている。
50mほど進むと左にカーブするのだが、ここで運悪く上から下ってくるバスのヘッドライトを確認した。このまま対向車線を走る訳にも行かず、仕方なくバスを左側車線へと進路変更する。
この状態は完全にThe bus on ice !! である。

離合の際に邪魔にならないようにバスをまっすぐな状態にし停車したその直後、ブレーキを踏んでいるにも関わらずバスが後方に滑り始めた。(@_@)えぇっ!こうなってしまったらもうなすすべは無い。出来ることはとにかく非常事態を後続車に知らせる為、ハザードを出しバスがとにかくまっすぐに下がるようにバックギアに入れブレーキから足を離しハンドル操作でバスが側壁にぶつからないようにするだけである。後は運を天に任せてひたすら止まってくれるのを祈るしかない。

下がりたくも無いのに何故バックギアに入れるのか?(爆)
それはアイスバーン上でブレーキを踏んだロック状態ではブレーキどころかハンドルすら効かなくなる為、エンジンブレーキを併用し多少でも車輪を回転させることによりわずかな制動効果をもたらす為である。(この車両はABS(*2)未装備車) しかしこれを決断するにはかなりの勇気と決断が必要ではあるが、既にパニック状態であるにもかかわらず無意識にこの動作をしているのは実車(*1)であるがゆえに、絶対に事故は起こせないという思いからかもしれない。

スノーシェッドの入り口部までの約50m滑っていったところでやっとバスは止まった… (^。^;)フウ
前方から来ていたバスはその一部始終を停止した状態で見守ってくれていた?(爆)
偶然にも後続車は無く後退追突は免れたが、もし後続車があったら… 考えただけでもゾッとする。

この後、とりあえず下ってきているバスを待つ。すれ違いざまに相手のバス運転士が「良かったですねぇ無事で…この先も お気をつけて!」と挨拶を交わす。ホッとする一瞬である。(^_^;)
しかし、いま滑ってきたばかりのアイスバーンの上り坂をやはり行くしかない。今度は絶対左には寄るまいと誓いながら一気に上り込み、なんとかスキー場に到着した。

降車の際、お客さんの様子を見ると全員が熟睡体制であった為、そんな事があっとことすら誰一人気付いていなかった。(爆) でも良かった、無事で・・・(^。^;)ホッと胸を撫で下ろす。

アイスバーン状態ではタイヤチェーン装着でもほとんど効果は無い。氷の上のタイヤチェーンは進行方向には多少は有効でも左右方向(横滑り)には構造上ほとんど意味をなさないからである。(最近はこの状態を回避すべく、はしご状の横方向だけではなく縦方向にもチェーンを張った、亀甲状の製品も販売されている。そのようなチェーンであっても100%安全ではないのだが…
(亀甲式のチェーンは高価な為なかなか会社では購入してもらえない。(T.T))

アイスバーン状態をハンドルまたはアクセルフィールで察知できた時
いまだにいつもこの時の事が頭をよぎる。
あっという間の事故であるならまだ仕方が無いと諦めもつくが、ジワジワと迫りくるこのアイスバーンの恐怖は言わば“生殺し状態?”2度と味わいたくない経験である。

(*1)実車・・・バス車内にお客様が乗車している状態で運行している状態の事。その逆は空車。
(*2)
ABS…アンチ・ロック・ブレーキシステム(Anti-lock Brake System)の略で、急ブレーキをかけたり滑りやすい路面でブレーキをかけた時に、タイヤロックにより生じるスリップを防止して、安定した車体姿勢の確保、ハンドル操作による障害物の回避を容易にするブレーキシステム
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